
筋トレが空前の大ブームです。NHKの人気番組「みんなで筋肉体操」を起点に、人生100年時代への備えや、コロナ禍のスポーツジム閉鎖による自宅筋トレ需要の高まり、SNSの普及によって承認欲求を満たせる環境、様々な要因が重なりました。
とはいえ、筋トレ自体はすでに私たち一般人の生活に浸透しており、特に目新しいものではありません。
なぜここまで空前のブームになったのかと、あれこれ考えた結果、消費の牽引役である女性の影響が大きいことが分かりました。
有名女性トレーニーの出現、女性に人気のインスタやTikTokの普及によって匿名で承認欲求が満たせる環境。インスタにおいては「#腹筋女子」のタグがついた投稿が約13万件もあります。さらに筋トレが永遠のテーマであるダイエット効果もあるとなれば、もはやこのブームは必然といえるでしょう。
ただ、筋トレブームと言っても、筋肉をデカくしたい人もいれば、細マッチョを目指す人、戦える身体を手に入れたい人、基礎代謝を上げたい人、様々な目的があります。当然ながら目的が違えば手段も異なるわけですが、筋肉や身体をレベルアップしたいという点では同じベクトルです。
つまり、筋肉と身体の特性を理解して、目的に合ったトレーニングをすることが重要になります。ちなみに私の目的はズバリ「戦える身体」です。
というわけで、筋肉を科学的に分析して、どうしたら大きく、強く、持久力が付くのかを検証しましょう。
盲目的な筋トレ・ボディメイクに科学のメスを!
みなさん「うさぎ跳び」知ってますか?
若い世代は聞いたことすらないかもしれません。かつて脚力トレーニングと言えば「うさぎ跳び」というくらいド定番の種目でしたが、1970年以降はトレーニング効果がなく、様々な故障の原因になるとされて禁止になりました。この「うさぎ跳び」のように、いろいろ検証していくうちに「実はダメだった・実は良かった」ということは筋トレに限らずよくある話です。
ということは、今正しいとされていることが、5年後10年後に正しくない可能性もあります。科学は仮説と検証の繰り返しなので、時代によって結論が変わることはある意味必然といえます。
しかしながら、最新の理論や知識が不確定というわけではなく、現時点の「英知の結晶」であることもまた事実。大事なのは与えられた情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考えて答えを出すことです。
トレーニングの3つの原理&5つの原則
さて、現時点でのトレーニングにおける「叡智の結晶」である原理原則を確認しましょう。
3つの原理:トレーニングが体に与える影響の根本的な法則
- 過負荷の原理:いつも同じ負荷や同じ動きばかりでは身体が成長しない
- 可逆性の原理:トレーニングをやめると身体が元の状態に戻る。継続することが重要。
- 特異性の原理:鍛えたいところ鍛えないと意味がない
5つの原則:トレーニングにおいて一般的に適用される根本的な法則
- 全面性の原則:1つの部位ではなく全身をバランス良く鍛える
- 漸進性の原則:コツコツと焦らずに地道に負荷を上げてレベルアップする
- 反復性の原則:継続することが重要で、反復することで神経系も強化される
- 個別性の原則:体力や体質には個体差があるので特性や能力に合わせてトレーニングする
- 意識性の原則:トレーニングの意味を理解して、鍛えている部位を意識する
速筋と遅筋のバランス
「速筋」と「遅筋」は「白筋」と「赤筋」と分類されることもあります。
- 速筋(白筋):パワーや瞬発力が必要な無酸素運動に適している⇒加齢により衰える
- 遅筋(赤筋):持久力が必要な有酸素運動に適している⇒加齢による衰えが少ない
ちなみにマグロやカツオなどの回遊魚は長距離を泳ぎ続ける遅筋が発達してるので赤身が多くて、回遊しないタイやヒラメなどは、敵から逃げるために瞬発力が必要なので速筋が発達してるので白身が多いというわけです。
まとめ
トレーニングの原理原則を根底にして、目的に合わせたトレーニングメニューを構成すれば、最小の労力で最大の効果が期待できます。裏を返せば、盲目的な思い込みトレーニングは最大の労力で最小の効果になっているといえるのです。
ちなみに私の目的は「中年素人がキックボクシングライト級で2ラウンド全力で戦える身体」になりますが、原理原則に当てはまるとやるべきトレーニングが明確になります。
次回の記事では私が考える「中年素人がライト級のキックボクシングで2ラウンド全力で戦える身体」を科学してみたいと思います。
コメント