なぜ、日本の若者に退職代行サービスが流行っているのか?

なぜ、日本の若者に退職代行サービスが流行っているのか?

私の勤務先でも退職代行サービスで辞めていく若者が増えました。

人事部ではないので詳細は分かりませんが、ここ最近でいえば退職者の2割くらいは退職代行サービスで辞めてます。ちなみに海外では、退職代行サービスは存在しないようなので日本固有のビジネスのようです。

転職は、欧米ではポジティブなイメージですが、日本ではネガティブなイメージが残っているのかもしれません。欧米や中国では退職代行サービスを使うどころか、会社に何も言わないで辞めていくことの方が問題のようです。周囲への心配りは良くも悪くも日本の国民性ですが、皮肉にもその心配りが退職代行サービスという新しいビジネスを創造する一翼を担ったと考えると複雑な気持ちになります。

とはいえ、まともなコミュニケーションが通用しないポンコツ上司や、ろくでもないブラック企業は数多くあるので、自分を守るために退職代行サービスを利用したい気持ちもよく分かります。

私自身は退職するにしても退職代行サービスを使わないと思います。さらに部下に対して、辞めるにせよ辞めないにせよ、そのようなサービスを使わないで済むように、常日頃からコミュニケーションをしっかりとるようにしています。

日本の若者に退職代行サービスが流行っている3つの理由

直属の部下が退職代行サービスを使って辞めていった経験はないのですが、退職代行サービスを使って辞めた数名の若者と話をしたことがあります。なぜ「退職代行サービスを使ったのか?」という部分ではある種の共通点がありました。

そんな共通点を認識しやすいように、退職代行サービスを使う若者の気持ちを歌にしてみました。

サラリーマンラプソディ

●ピアノのパート
ママ、今日、仕事を辞めてしまったよ
いつもの新宿行きの電車に乗らずに、逆方向の八王子行きに乗ったんだ
ママ、ぼくのサラリーマン人生は始まったばかりだったのに全てを失ってしまった
ママ、本当は辞めたくなんかない!どうしてこんなことになっちゃったんだろう?
ママ、ぼくが明日、仕事に行かなくても悲しまないでね
もう手遅れ 折れた弓矢のような僕を許してほしい
さようなら、職場のみんな ハローワークに行って現実に向き合わなきゃ
無職にはなりたくないよ 
こんなことになるんだったら就職なんてしなければよかった

●オペラのパート
会議と面談がぼくを怖がらせる 
課長、部長、常務、社長
ぼくは、ただ会社に馴染めなかった若者 
誰も僕を気にしてはくれない
彼はフォローのない部署に配属されたただの哀れな若者
この哀れな運命から彼を救いたまえ 
ぼくを見逃しておくれ
だめだ 逃がさない (逃がしてくれ!)
だめだ 逃がさない (逃がしてくれ!)
だめだ 逃がさない (逃がしてくれ!)
だめだ! だめだ! だめだ! だめだ!
ああ、なんてことだ、人事からの電話がなりやまない
頭がおかしくなりそうだ

●ロックのパート
会社はぼくを捕まえて、もう一度働かせるつもりなのか?
ぼくが、また心を入れ替えて働くとでも思っているのか?
冗談じゃない! 僕はもうあんたたちとは働けない
退職代行サービス「SARABA」でおまえらと永遠にさらばだ!
早く退職しないと!ぼくには時間がない
早く会社から逃げ出さないとぼくが壊れてしまう

●最後のパート
別に一人退職するくらいいいじゃないか
どうでもいいことだろ?
なんとかなるさ

1.説得されたり、周りに説明したりめんどくさいから

会社としても若い人材は財産ですから、そうやすやすと辞めさせるわけにはいかないんですよね。入社してから一人前になるために大切に育ててきた貴重な人材ですから引き留めるのは当然です。

残念ながら貴重な人材と思われてなくても、新しい人に最初から教えるより、ちょっと慣れてきた人にやってもらう方が効率的なので、会社はあれこれ理由を並べて辞めないように説得してきます。退職する時は精神的に追い込まれているので、冷静な判断ができないから、説得されてしまうかもしれない。

もうとにかく関わりたくないというのが本音ですよね。その気持ちよく分かります。

2.会社に1ミリも未練がない

これは仕事デキる系の若者に多い傾向で、退職に悩むどころか1秒でも早く次のアクションを起こしたいというポジティブなマインドで退職代行サービスを利用するパターン。くだらない組織の上下関係、だらだらと続く無駄な会議、保身しか頭にない無能上司にそれを良しとしている会社。もうバカバカしくて付き合っていられないのでしょう。

このように会社に愛想が尽きている場合は、関わっている時間は無駄でしかないので、お金をかけて無駄を省くという発想です。次にやることが決まっていたり、尊敬できる人間や会社への感謝がない場合が多いです。おっさんの私には考えられない思考回路ですが、仕方ないですね。

3.自分のメンタルを守るため

理不尽上司に毎日責められて精神がボロボロ、繰り返される無理と無駄の極みと化した残業の日々、誰も助けてくれないギスギスとイライラがはびこる人間関係、もう八方塞がり。

これ以上関わったら心が壊れてしまう。そういう状況の場合も退職代行サービスは役に立ちます。ここで無理してしまうと最悪の結果になりかねないので、おっさんの私でも退職代行サービスを使うことにむしろ賛成です。

こうなってしまう過程にはいろいろなことがあったと思いますし、上司や同僚が助けることもできたはずです。ここまで追い込んでしまう上司や会社の責任は重いですよね。

まとめ

退職代行サービスが「日本固有のビジネス」というところに「日本企業が抱える問題」の本質があるように思います。日本の会社はなんだかんだ言っても、未だに飲み会が重要だったり、社内接待が得意な人が出世したり、残業してる人はがんばっていて、定時で帰る人は楽しているという昭和な考えが根深く残っています。

窓際族とか、リストラという言葉がメディアで使われるようになり、中年世代が被害を被っているような風潮になっていますが、はたして本当でしょうか。なんだかんだいってあなたの周りのおっさんは会社に居座り、あなたより高い給料をもらってはいませんか?何をやっているか分からない執行役員が何人もいて、副部長に副社長に担当部長に課長代理が2、3人いませんか?

この構造を目の当たりにして思うことは、被害を受けているのは安月給で実労働をしている若者ではないか?ということ。結局「終身雇用制度」も「年功序列」も形を変えて残っていて、名ばかりの「成果主義」がぽつんと残っている、そんな状況ではないでしょうか。それは記憶に新しい、名ばかりの「働き方改革」がいい例だと思いませんか?

そんな日本企業の状況を前提に考えれば、逃げ場のない従順な若者が会社に搾取された結果が退職代行サービスというビジネスを創造したということが分かります。

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